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2025年1月5日(日)
19時10分53秒
PsychoCritique「解」加藤智大  再読、そして感想 名無しの電波さん <雑談>
§このメッセージは <雑談> 向け配信です。
明日より本年の初仕事が始まる。
まあ、いつまで続くかわからん腐れ現場のイワクつきの派遣仕事ではあるのだが、、、
加藤の「解」のなかで俺的に「ひっかかった一節」を転記して挙げておく。
故郷の青森を捨てて、出会い系掲示板でのリアル交流を求めて車で旅に出るが挫折して、駐車場で自殺を考えていたときに、警官に声をかけられた加藤の心情である。

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どれくらいの時間が過ぎたのかはわかりません。気がつくと、駐車場の管理人が警察官を連れてきていて、その警察官に、何をしているのかと問われました。
久しぶりの人との会話に涙があふれました。ごまかすこともできずに、自殺しようとしていると、そのまま答えたところ、「生きていればいいこともある」と言われ、
私の心は凍りつきました。それは「(俺は何もしてやらないけど)生きていればいいこともある(だろうから、ひとりで勝手に頑張れ)」ということだからです。

「解」(P41より抜粋)
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警察官が励ます「生きていいればいいこともある」という言葉は、加藤のなかでは理解も満足もできる言葉ではなかった。
「生きてりゃいいこともあるさ」と励ます言葉に凍りついて?「ひとりで勝手に頑張れ」ということだろ、と歪曲な解釈をしてしまう加藤。
アキバ殺傷事件同様の、まったく見ず知らずの他人にまで自分のマイナスをどうにかしてもらおうと巻き込もうとしている片鱗がみえる。
加藤の「マイナスの共有願望」ともいえるものが垣間見える情景というふうに俺には思えるのだ。

その後に駐車場の管理人から払えない駐車料金の返済の約束をするのだが、これが「生きていかなくてはいけなくなりました」と加藤の自殺願望を一瞬で消し飛ばすことになったらしい。
駐車場の管理人が自分の返済を信用してくれたことで「約束」を果たさなければならなくなったから自殺はしない、、、のだと。
自殺にせよ、他殺にせよ、殺人という極端に一線を越えた行為の動機を「好悪の感情やら怨念」ではなく、「孤立を回避する繋がりの理由」とするところに
アキバ殺傷事件への「現代の孤立しがちな若者の共感」があるような気が俺にはするのだ。

この匿名電子私書箱「雷蔵」を立ち上げたのは、俺自身、加藤ほど若くはない、いい歳こいた初老のオッサンなのではあるが
5ちゃんねるやエックス等の、ただの大量の言葉の塊にしかならない匿名掲示板群や、フォロワーだの、いいね!だのの「数」で比較しあう承認欲求SNSなんかよりも、
いっそう心で深く繋がれるものを作りたいという願望の結実なのだ。
捨てられた子犬のように、誰でも彼でも救いの手を差し伸べてくれる人間を、ネットでやみくもに探す加藤のような、愚かで哀れな若者が救われることを祈念している。
 


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